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ザガト

マーティン・フランシス
(フランス)

アルファロメオ

イギリス生まれ。20年前からフランス在住。
ロンドンの美術デザイン・セントラル・ スクールでインダストリアル・デザインを学んだ後、アーキテクチャー・アソシエー ションで建築学とインダストリアル・デザインを教える。
1967年のアンソニー・ハントとのコラボレーションを経て、サー・ノーマン・フォ スターとともに20年間設計活動を行う。同時に、ノモス・システム・オブ・オフィス・ ファニチャーのモダン・アート・グラス・ウェアハウスやスタンステッド空港プロジェ クトに携わる。
また、バリー・ガソノン(Gassonon)とともに、バレル・アートコレクションを収 蔵する美術館(スコットランド)のデザインを手がけ、賞を受賞。
1979年、フランスのアンティーブで、ヨット・デザイナーとしても活動を開始。初 期の作品には、コンコルドやディヤブラッセ(Diablasse)をはじめとする、当時世 界最大のスループ型帆船4艘などがある。
最近は、M.Y. Eco(現在はKatana)を筆頭に、最先端を行くデザイン、高速ガ
ター ビン・モーター・ヨットのデザインに取り組む。
1981年には、故ピーター・ライスとともに構造デザイナー集団、RFRを設立。現在、 RFR監督審議会(Conseil de Surveillance of RFR)の会長。建築家I. M. Peiのコン サルタントとして、ルーブル美術館前の新ピラミッドのプロジェクトにも参画してい る。

新しい文化、新しい香り、色彩そして音を探し求めて大海原を旅することは、誰しも夢見ることである。私のバードハウスは、風と波のまにまに浮かび漂って、大海を旅 する全てのもののために、開かれた場を提供しようとするものである。
それは快適に、 安全に、のんびりし、周囲を観察し、楽しむための場であるとともに、旅するものが 目的地に向かってさらに遠く旅を続ける前に、一休みしてくつろぐ場である。それは 外から守られてはいるが、外に対して開かれた空間でもあり、我々が日々係わり合う複雑な周囲の状況の中で、自分は一体何者なのか、何に帰属しているのか、と言う本質的な問いをよく考えてみる場である。
私が極めて単純に、波と風と海流によってのみ運ばれる、浮かぶ止まり木、というアイディアを念入りに作り上げたのは、以上のような考えによるものなのである。旅するものに安楽と、そして必要とあれば、風雨に対して保護を提供することを願ったが、 同時にまた、自然の中を、自然と共に、自然と相並んで旅すると言う我々の目的を見失わないよう注意することが必要であった。
入口と出口は一つの開かれた空間で、風から常に保護されているが、このくぼみのや すらぎと穏やかさに憩い、楽しみを求めるものには常に開かれている。この両者の接する領域を、バードハウスの内と外との間につくることが、私には重要であった。
このバードハウスの基本的な形態によって、この事は自然に達成されたのである。 実のところ、このバードハウスは、風がどの方向から吹こうが、自然にその方向に自らの向きを合わせるのであって、それ
設計の中に本質的に含まれる特徴なのである。

このことは海の風の力に対する謙虚さのしるしであるだけでなく、実は風の力が脅威 的なものとなる時にそれと共存する最善の方法なのである。
目の細かいネットは効果的に風の力を弱め、風の乱れを除き、外の風が如何に激しくとも、内部は穏やかである。波はしばしば心配の種であり、荒れると激しい揺れや場 合によっては転倒を引き起こす。
このバードハウスの設計のもう一つの本質的な特徴は、水線面の面積が非常に小さいことで、止まり木は、実際上、波の動きをほとんど受けず、従って、海の状態がどうであれ、すべての鳥たちに平穏な航海を保証するのである。
このバードハウスの空間は、非常に単純な組み立て部品で創られているが、その住民 に安全と快適を供給することに成功している。
それは謙虚さと知性をもって、風と波と海流と、いやさらにその周囲を取り巻くすべての自然と共同して動くことによって 成し遂げられるのである。

スティル・ベルトーネ

マルコ・ボネット

イデア

ダイハツ

ターゲット・デザイン

エス&エス

アンドレア・バリセリ

マーティン・フランシス

アルバート・ガンベル